焼き魚の匂いが漂ってきて思い出したことがある

子供の頃おばあちゃんの家によく遊びに行った。春休みや夏休み等の長期休暇を利用して、栃木県から群馬県まで車を走らせた。運転したのはもちろん両親だ。小学生が運転席に座ったら視界はハンドルと速度計で埋め尽くされてしまうだろう。

おばあちゃんの家には数週間滞在した記憶がある。おばあちゃんの家はいつ行っても新鮮だった。群馬県伊勢崎市。どこか懐かしい街並みも好きだった。
おばあちゃんの家で朝を迎えると料理の匂いに起こされた。お勝手(おばあちゃんは台所のことをお勝手と呼んでいた)から魚を焼く匂いや炊けたご飯の匂いが漂ってきた。自然と笑みがこぼれる優しい目覚めだった。

料理の音が聞こえた。油がはねる音、コンロと鍋が擦れる音。お勝手から茶の間まで料理を運ぶ音が聞こえた。硝子が嵌め込まれた引き戸を開ける音、お箸がカチャカチャと鳴る音。僕の知らないところで大人たちが活動している。そこに参加したくなった。

だから早起きして一緒に朝ご飯を作った。ワクワクするから目覚めた瞬間に身体が動くのだ。「布団を出よう!」と強く思えた。毎日がこんな気持ちだったら最高だ。

おせち料理を作った思い出がある。白とピンクのかまぼこをスライスして交互に並べた。片方はおばあちゃんが、片方は僕が切った。すると僕が切ったかまぼこは若干潰れて身長が低くなり、交互に並べると凸凹になってしまった。

いろんな料理を作り、茶の間で待っているおじいちゃんに「これけんちゃんが切ったんだよ」と照れながら自慢した。(僕は自分のことをけんちゃんと呼んでいた)
電子レンジの音が目覚ましじゃ味気ない。料理の匂いに起こされ一緒に調理できたら最高だ。

ワクワクしながら目覚めて、優しい料理を味わって、失敗しながらも作り方も覚えて、わいわいとコミュニケーションもとれる。僕はやっぱり手作り料理が好きだ。

将来子供と住む家は美味しい匂いが漂う間取りにしよう。建築設計に関わっている方はぜひこういうことも意識してほしい。

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